Le Gruyère AOPの生産

西暦1115年から何世代にも渡り受け継がれる製法と100%職人のノウハウにより、グリュイエールAOPチーズは唯一無二の味と完璧な品質を保っています。酪農家、チーズ製造所、熟成士それぞれが厳格に定められた手順に従いグリュイエールAOPの生産に携わっています。
このチーズ作りのノウハウはスイス連邦農業庁により承認される原産地統制名称を2001年に取得しました。

1. 良質な生乳

グリュイエールAOPチーズの原料となる生乳をつくる牛には天然の飼料のみ与えられています。夏は新鮮な牧草、冬は干し草を与え、添加物やサイレージ(発酵保存した飼料)は一切使用しません。

酪農家は毎日朝と夜の2回、専属のチーズ製造所にチーズ作りで最も重要な牛乳を届けています。


2. タンク内の生乳の凝固

午前中に搾乳された生乳が銅製タンクの中で一晩寝かされた生乳に加えられます。その後牛乳の熟成を促すホエーに含まれる乳酸酵素、そして牛乳を固めるために生後数週間の子牛の胃袋から得られる天然の凝乳酵素を加えます。約35〜40分後にはタンクには白い塊ができます。 生乳は凝固させる前には一切加熱処理はせず、生乳が持つすべての風味を逃すことはありません。これが生乳から作られるチーズの品質です。


3. カードのカッティングと撹拌

ひと塊になったカードはカードカッターと呼ばれる大きなナイフで細かい粒状になるまでカットされます。その後タンクは40〜45分間、57度まで徐々に熱を加えられます。


4. 質感の確認

タンクの温度が57度に達しカードが小麦の粒状の大きさになったら、ひと握りの量を取り出し、質感を確かめるために捏ねてひとつの塊にします。


5. 型への流し入れと刻印

タンクの中身(粒状のカードとホエー)を丸型のチーズ型に流し入れます。全ての型の側面(通称タロン)には「Le Gruyère AOP」グリュイエール AOPの商標とチーズ製造所番号が刻印されています。チーズ型の下には型から流れ出たホエーを受け止める容器があります。カードの白っぽい塊にはカゼインマークでチーズの番号とチーズ製造所番号がつけられます。さらに製造年月日もそれぞれのチーズに明記されます。カゼインは生乳に含まれる自然なタンパク質で添加物不使用です。チーズは約20時間圧搾され、約900kgの力が加えられます。


6. 塩水での手入れと貯蔵庫への保存

翌日になると、チーズは型から外され、22%に濃縮された塩漬け用の塩水に24時間浸けられます。その後熟成の為に3ヶ月間チーズ製造所の貯蔵庫で保存されます。モージュと呼ばれる美しい表皮を作り上げるため、その間日常的に手入れは惜しみません。


7. 貯蔵庫での熟成

3ヶ月経つとチーズは、湿度90%室温15度の熟成用の貯蔵庫に移されます。この熟成期間は5〜18ヶ月間と様々で、この間チーズは定期的に裏返したり、塩水で表面を磨かれたりします。このチーズの熟成を特徴つけるアンモニア臭が貯蔵庫内が満たされています。


8. 品質の管理

生産から4ヶ月目には全てのチーズはチーズ認定機関により厳格な審査基準に従って品質チェックを受けます。この審査を通過した後に正式にグリュイエールAOPという名称を使用することができるのです。「品質」はグリュイエールAOPチーズにとって常に重要なポイントです。5ヶ月以上のグリュイエールAOPチーズは市場に出回り始めます。


9. 熟成期間

グリュイエールAOPは熟成期間により様々な風味を生み出します。

6〜9ヶ月熟成のクラシックタイプは柔らかい質感でソフトな味が口の中いっぱいに広がります。

熟成期間最低10ヶ月のリザーブタイプはコクがあり風味が強く、その香りの芳醇さは多くの人に好まれています。

一部のチーズはより強い風味をだすため18ヶ月間、さらには24ヶ月間熟成されることもあります。


必要不可欠な材料

チーズプラトー(チーズの盛り合わせ)や様々な料理においてグリュイエールAOPチーズは多くの人に好まれているチーズのひとつです。


グリュイエール AOP製造所見学

チーズ実演製造所のLa Maison du Gruyèreではチーズの王様であるグリュイエールAOPチーズの魅力をご紹介しています。アルプス高原にもほど近いこのチーズ製造所はグリュイエールチーズ発祥のグリュイエール村にあり、グリュイエール城のふもとに位置しています。

ポンデゥマーテルチーズ製造所ではお客様用ギャラリーをご用意しております。このチーズ製造所では直接チーズ作りの現場をご覧頂けます。ご家族で、またはお一人でもグループでもチーズ作りの魅力がたくさん詰まった展示をお楽しみ下さい。